May 6, 2010⑪ in the black of night
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夕食後は外に出て、皆で火を囲んだ。
ベルベル音楽が闇の中で響き渡る。
周りのカップルたちは砂の上に寝そべり愛を語らっているようだ。
他にも何人か、私たちとは別組でこの地まで来たらしい家族などが憩っている。
カメラは椅子の上に置き、私も砂の上にゴロンと寝転がった。

ぽっかりと開いたような異空間。
天には視界に収まらない程の星が瞬いていた。

星空の下、それまでの道中一度も感じなかった寂しさが不意に訪れた。


‐ ジャパン!

(はい!!?)


私は、一部の青年たちにジャパンと呼ばれていた。
ちゃんと名前を言ったのだが、いつの間にかそうなってしまった。
なんだかおかしい。

さて、寝床とするテントが割り振られていったのだが、思った通り、私は自動的に例の一人で来ている女の子と一緒のテントに振り分けられた。
天井も低くとても狭い密室で二人きり・・・。
どうもお昼の出来事など色々引っかかってしまっていた。
後程、もし他にテントが空いているならそっちに移ってもいいかと、私をジャパンと呼び始めた青年に聞いたところ、いいよとの二つ返事だったので、一時置いておいた荷物を導かれた別のテントに移動することにした。

星空やベルベルリズムに心を預けていると、ある青年に、星の説明をしてあげようか、と何度か聞かれた。
単に眺めているだけで十分と思っていたので受け流していたのだが、またある時、ラクダに乗りたいか?と聞かれ、それには思わず釣られてしまった。

かくして、星空の下、ラクダ散歩をすることに。
その砂漠まで私を乗せてきてくれた子の名前はサヘルということがわかった。
サハラ、サハラ、サヘル・・・
良い響き!
私は闇の中再びサヘルに跨がった。

テントから離れるにつれ静けさに包まれていったが、暫くすると、遥か遠くで微かに別の音楽が聞こえてきた。
見えはしなかったが、私たちのグループと同じように火を囲み、音を楽しんでいる者たちがいるようだ。

時折ポツンと生える木のシルエットがうっすら見えたりするが、辺りは深い深い闇。
見上げると眩しいほどに輝く満天の星たち。
そして愛らしいサヘル。
一生忘れられないくらい素敵!
そう思い、私はただ単純に感動していた。

しかし、世の中そうそう素敵なことばかりではないのだ。
その後私は美しき世界から、一気に思わぬところへ引きずり落とされることになる。

さて、そろそろ引き返そうか、となった時、青年が帰りは自分も後ろに乗ると言う。
私の後ろに彼が乗った。


‐ もう少しこっちに、後ろにさがって。

?

それまで全然問題なかったし、別にこのままでバランス取れてるけど・・・。


‐ もう少し後ろに座ったほうがいいよ。


なぜに?
気にしすぎ?
でもちょっと何かがおかしい・・・・・・。


そして、直後一気に吹っ飛んだ。


‐ マッサージしてあげようか?



- アルガンオイルは知ってる?
それでマッサージしてあげる。


(知ってるけどさ・・・。)


- ノー、要らないよ・・・。


‐ 君のテントでマッサージしてあげるよ。ね!?


その後も、背後から同じ質問が繰り返され、私はついに口を閉じた。
突然コトバの全くわからない人になった。


- 僕の言ってることわかる?


苦笑しながら心中叫んだ。
(嫌ー!!わかりたくない!)


早く降りたい・・・。
変な汗が出てきたぞ。

そんなこんなで、テントの張ってある地までどうにか戻ってきたが、火は消され、音を奏でる者も、愛を語らう者も、すっかりその場から居なくなっていた。
さほど長い間離れていたわけでもなかったが、どうやら皆就寝モードに入ってしまったようだ。

私はトイレに行ってもう寝るから、じゃあ・・・!
と言うと、彼は手を取って付いて来た・・・。
さり気無くふりほどこうとすると、足元暗くて危ないから、と言う。

(あのあの、危ないのは足元じゃなくてさ・・・。)

変な汗がますます出てきた。
食堂テントの近くにあったのは、掘っ立て小屋とも呼べない簡素な作りのトイレだった。
極めて心地悪いまま急いで用を済ませ、当然砂漠の真ん中でそれは水洗なわけもなく・・・。
外に出た私を待ち受けていたのはビニルのプール。
そして、そこには私を嘲笑うかのようにプカプカと手桶が浮いていた。
手桶で水を運び往復。

そして、他に待ち受けていたのは問題の方一名・・・。

さ、さ、あたしゃ寝るよ!
何処だ!マイテントはっ!?

自分の寝床を見つけると、カメラ等は砂から守るべくバッグの奥底にしっかりしまい、着替えることもせず、とにかく慌ててザラっとした毛布の中に潜り込んだ。
それから少しして、人の気配を感じた。
緊張感。
目を薄く閉じると直後懐中電灯のようなものでテント内を照らされた。

固く目を閉じた。
思わず身が硬直する・・・。

・・・去っていった。
誰だったのだろう!?
さっきの青年か?それとも誰かただの見回り?か・・・!?

あーもう、今回のことは自業自得だ・・・。
トホホだわ・・・。
そんなこんなで心臓バクバクしながら反省モードで寝付けずにいたら、なんだか次第に外の風が強くなってきた。
砂・・・嵐・・・!?

みるみる内に外から砂が吹き込んできた。
そこで初めて何かがおかしいと思った。
慌ててテントに潜り込んだので気付かなかったが、なんと、私のテントの入り口にはドアが付いていなかった。
布切れが地面に向かって垂れているだけ。

外に出て、他のテントの前まで行ってみる。
それらには、しっかりと枠が付いていて、そこに布が張ってあり、ドアと呼べるもの、外気を遮断できるものが入り口に備え付けられている・・・。
私のそれとは明らかに作りが違うのだ。

我がテント内密閉出来ず・・・!

ダラリと垂れ下っている布を下に引っ張り、辺りにある石、なるべく大きく重そうな石を拾って布の裾の上に置く。
なんとか大丈夫かな・・・?、と思い布団に入るが、全く意味が無かった。
またすぐに砂まじりの強風が吹き込んできた。

丈が足りな~い・・・!
つんつるてんである。 
外に出て引っ張って石を乗せ、諦めては外に出て・・・諦めては外に出て・・・
二度、三度、四度・・・。
もう駄目・・・。
とうとう力尽きた。
なんか前にもこんなことあったな・・・。

あと10センチ、いや、あと5センチでいいから布が長かったら・・・。

あーーー
砂漠で何をやっているのだろう!

錆、ならぬ、身から出た砂・・・!

観念した私は備えていたマスクをし、毛布をその上に重ねるように被り、なるべく顔を覆うようにした。
ビュービューと容赦なく砂が吹きすさぶテントの中で、早く朝が来ることをただただ、ひたすら願っていた。










*問題の御方は上の写真にはおりません。念のため。

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今夜は18時より2011年コスモス展後期のオープニングです。
(参加者、参加者関係者無料☆)
展示は明日17日(土)から26日(月)まで開催。
よろしくどうぞ!
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by filmaniayako | 2011-12-16 15:22 | travelog
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