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May 5, 2010⑨ a boy in a green T-shirt
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ずっと部屋で休んでいても勿体ないよな・・・。
気を取り直して再び外へ出かけた。
メディナに入ると、向かいからスェーデン人のジョンとお爺ちゃんが歩いて来るのが見えた。
地元の人に道を聞いているようだった。
軽く挨拶を交わし通り過ぎた。

それから私は、今度は迷わないように、と手帳にメモを取ろうと決めた。
歩いてきた道、曲がった箇所に存在したお店などを、かじ(鍛冶屋)、ランタン(屋)・・・と言ったように書き出していった。
しかし、いくら書き足していっても複雑な道や無数にある曲がり道に、手帳に記した線は不規則にカクカクとするばかりで、それは地図と言うには及ばない、なんとも頼りない代物になっていた。

そんな時、ひょろひょろっと背の高い少年が近づいてきた。
日本で言えば中学生くらいだろうか。

-広場に行くの?
  広場はこっち。
  こっちこっち。

あー・・・・・・。
私の側から離れようとしない。
ガイド要らないから、とだけ言い、心を鬼にして返事をせず歩いていたが、彼は話しかけることを止めなかった。
彼には応じず私はメモを取りながら歩いていた。

-ね?
  ね?
  あっち、もうすぐ広場だよ。
  
途中で、もうすぐ先を行けば広場だと仕切に言い出した。
思わずその方向に目を遣る。
信じられなかった。

そのまま歩くが広場などなかった。
やっぱり・・・。
悲しい気分になった。
彼は相変わらず私の前や横を歩いている。

-最後まで連れていってよ。

やるせなくなってついに言葉を交わしてしまった。
私はメモをとるのを止めた。
それから暫く歩き続け、ようやく視界が開けて広場に出た。

少年は手を差し出しチップを求めてくる。
ただそのまま渡す気にはならなかった。

-チップをあげないとは言ってない。 
  さっき途中だったのに広場に着いたと言ったでしょう。
  案内すると言うなら嘘をつかずにちゃんと最後まで案内するべき。

少年は話を聴きながらちょっとうなずいたりもしていた。
奇麗事ではなく、前に会った男性のようにあんな歳になってまで嘘をついてチップを欲しがる人間になって欲しくないと思った。
そして、少年は近くの店先にいた青年の元へ行き、こちらをチラチラ見ながら何か言っている。
青年は少年の兄貴分なのか、体格の良い、いかつい男性だった。
心臓がドクンとなった。
彼の前でも同じことを話した。
話し終わると、それから少年の掌にコインを1枚乗せた。
勢いよく走り去っていく後姿を見送った。
何か響いたのだろうか。
何も響いていないのだろうか・・・。

いかつい男性の前にポツリ残された私は内心とてもハラハラしていた。
何を言われるだろう・・・、ぼこられる・・・?

すると、彼はただ笑いながら言った。

- うちの服を見ていってよ!!

普通に客引きをされただけだった。
堂々としているつもりではあったが、内心では何事も起きなかったことに胸を撫で下ろした。

これも文化といえばそれまでだけれど・・・、いちいちとりあっても仕方ないのだろうか、子供相手に言うことではなかったかな・・・いやそんなことは無い・・・。
そんなことを悶々と考えながらその青年の元から去った。
by filmaniayako | 2011-01-11 19:51 | travelog
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