May 5, 2010⑨ Armin
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日の長いモロッコも夜になった。
夜のフナ広場には沢山の屋台が軒を連ね、空いたスペースでは様々な大道芸人たちが客に芸を披露している。
昼とはまた違う雰囲気で、大変賑やかなものだ。
屋台で腰掛けて食べているのは観光客が主だろう。
ここも通りかかったものならもう最後、やはり客引きに捕まる。
屋台には店ごとに番号が振られていた。
中でも、22番の屋台のあんちゃんはやたら陽気だった。
変にしつこくなくフレンドリーなので少し引っかかっていると、横から別の店の男性が割って入ってきた。
すると、おい!俺の客を横取りするな!とばかりに2人はふざけて蹴り合いを始め、目の前で即席コントが繰り広げられていた。
22番にまた来るから!と言い残し、屋台を後にした。
その時は本当にその店へ戻るつもりだったのだが。


‐迷ってるみたいだけど。

少し距離を置いた場所から様子を伺うように青年が話しかけてきた。
また来た・・・、正直そう思った。

-迷ってはいない、ちょっと疲れているだけ。

愛想良く元気に答える余裕などこの時点で皆無。
なかなか一人でゆっくり歩けなくて疲れてしまった、とそれまであった出来事を大まかに伝えた。
彼はモロッコの首都、ラバトからおばさんたちと遊びに来ているとのことだった。
名前をアミンと言った。
え?
思わず食いついて言った。

‐カサブランカで別の“アミン”にあったよ。

‐自分の名前はアーミンと伸ばすんだ!

彼によると、アミンは“誇り、プライド”の様な意味合いがある。
そして自分のアーミンという名前は、お祈りみたいなものなんだよ、と笑った。
えーそうなの!??と反応しながらも、カサブランカのアミンを思い出し、なんだかやけに納得、ナルホドと思ってしまった。

彼のオススメの大道芸のおばちゃんを観に行って、その後お茶をすることに。
でも、私はまだ食事をしていなかったので、モッロコらしい食事ができるレストランを教えてもらった。
少し若い雰囲気の漂う一角に出て、建物に入り、薄暗い階段を昇っていく。
あまりにも暗いので、大丈夫かな・・・・・・、と半信半疑で付いていく。
彼は昇りながら電気を点けていった。

ああ・・・。
よかった・・・。
モロッコは建物の中に入ってみないと本当にわかならい!
昇りきると、テントの天幕やカーテンで覆われた広いレストランだった。

席に着いて暫くすると、やってきた店員によってくカーテンがシャッっと勢いよく開けられた。
そして店員はアーミンに何かを言った。
決して個室、密室でも無かったのだが、一方向からはカーテンで死角にはなっていた。
何て言われたの・・・?と聞いてみたが、彼は苦笑しながら前より距離をとり席を移動した。
恐らく、女と近い、離れろ、とでも言われたのだろうか。
宗教的なこともあるだろうし、どこまで聞いていいものか・・・と悩んだ。

アーミンは何も食べないというので私一人で注文をした。
モロッコらしい夕飯のセットだ。(100DH)
前菜には、色とりどり種類に富んだオリーブ、平パン、野菜の盛り合わせのようなもの、
そして、メインにはクスクスが出てきた。
クスクスの上にはチキン、人参、茄子、ズッキーニ、ひよこまめなどがゴロゴロと転がっていた。

アーミンからは、ラバトでは料理人としてレストランで働いているという話、ジョギングが好きだという話、周りの同世代の友人のことなどを聞いた。
実直で真面目な青年だった。

食事の最後には果物の盛り合わせが出てきた。
もう、とてもじゃないが食べきれず、殆ど残してしまった。
それではあまりにも忍びないと思い、たいした差はないが、ビニルに包まれたお菓子と小さな林檎をひとつだけ持ち帰ることにした。
そして、締めにはやっぱりミントティーが登場。
そこでは店員ではなくアーミンが注いでくれた。
宙高く、銀のポットから良い音を立てて小さなグラスに落ちていく。
うまいものだ。
見ていてとても気持ちが良い。

ドタバタだった中、予定外に久しぶりに腰を据えてゆっくりご飯を食べることができ、私はとても癒された思いだった。
帰り際、あーあなたの写真を撮りそびれた!、と言うと、また今度会えた時にでも、と。
そうだね、またね、とモロカンスタイルの挨拶を交わし、もう一度交わしお別れした。

そっとリアドに戻ると、レセプションの明かりも消えていてとても静かな暗闇が広がっていた。
翌朝は早起きをする予定だったので、すぐに就寝することにした。
朝のブライアンとの出会いに始まり夜までディープな一日だったな・・・。
バタンキューの夜が続いていたが、この夜は少しベッドの中で思いを巡らす余裕があった。
私が枕を向けていた下の道路は、夜も零時を過ぎれば日中の騒々しさから解放され、だいぶ落ち着いていた。
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---遅ればせながらご挨拶---
新年になり早11日も過ぎ去ろうとしていますが・・・、
あけましておめでとうございます。
旧年中は更新不定期な拙ブログに訪問して下さった皆様、コメントを残して下さった方々、どうもありがとうございました。
 2010年、振り返るといつになく良い年だったなぁと心から思える一年でした。
 2011年、それ以上、最高な年と言い切れるよう過ごし努めていきたいと思います。
皆様にたくさんの笑みがこぼれますように・・・
本年もどうぞよろしくお願い致します。

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by filmaniayako | 2011-01-11 19:52 | travelog | Comments(9)
Commented by 酔鯨 at 2011-01-11 20:04 x
わーい、いっちばーん♪
写真、きれいですね。
Commented by filmaniayako at 2011-01-11 20:07
早っ☆
どうもありがとうございます!
Commented by ねぎま at 2011-01-11 20:32 x
ご飯を食べるのも冒険だねぇ。
でも、出会った人たちはみんな親切ですね。
しかも、ゆったりとした時間が流れている。
わたしが旅行者と出会って、少し話ができたとして
食事につきあったり、家に招いたり。
そんな心と時間の余裕を持ち合わせていないことに気がついた。
Commented by yukinyaa04 at 2011-01-12 00:04
あ〜〜〜〜!!
今日更新の予告があったから待ち構えてたのに油断した〜〜〜!!

じゃ、取りあえず今年は♯さんの息子さんから。
Commented by こべっと at 2011-01-12 10:50 x
やっぱりゆっくりした旅はいいものですね。わたしはいつも仕事ついでなもので、時間を気にして駆け足ばかり。
今もアリゾナですが、もうすぐ合流する仲間を待って夕食です。今回のアリゾナはいつも来ていたところだけで新鮮味無し。とは言え久しぶりの夕やけに感動です。
Commented by leicamania at 2011-01-12 11:20
ほんと、うらやましい。旅に(人に)恵まれてますよね〜
私は北東アジアばかりで・・・・・・(涙
空の色が素晴らしい!
Commented by filmaniayako at 2011-01-13 13:01
コメントありがとうございます。

>ねぎまさま
この夜は、ようやくまとまったゆるい時間が流れました。
自分のテリトリーに突然受け入れる、ホスピタリティーみたいなものって持てるようで中々難しいですよね。
元来日本人は不慣れな部分があるのかも。
田舎の方はまだ別でしょうか。

>yukinyaaさま
だって・・・Touchに夢中ですものね!
♯←ウケマシタ

>こべっとさま
新年早々出張ですか!
私はアリゾナは未踏なので興味深々です。
今年は久しぶりにUS行きたいです。
道中お気をつけください。

>leicamaniaさま
北東アジア良いじゃないですか。
せっかく何度も行けるならバンバン攻めちゃってください。
ありがとうございます。
Commented by Pirosi at 2011-01-17 22:15 x
国内旅行でも人との触れ合いは楽しいのに
国外での文化が違う人との触れ合いは更に楽しそう
それにしても、屋台の数が半端無いですね。
Commented by filmaniayako at 2011-01-19 19:07
わざわざ行かなければ一生すれ違うことさえもなかった人たち。
知りあえて少しでも心を通わせることが出来るのは楽しいですね。
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